尊勝塔

By raizoji,

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日本で発生した天災に、世界中は悲しみ哀れんだ。真佛宗密教法王蓮生活佛は台湾の草屯鎮で弟子に息災の祈祷を呼びかけた。

 

蓮生活佛は、密教では、「尊勝塔」を作ることで台風・地震・火災・水害を鎮めることができ、「尊勝佛母」は外部から内部へ及ぶ地水火風の災難を鎮めることができる最も主要な息災尊である、と開示された。
 
2011年3月11日午後、日本の東北で発生したM9.0の地震は津波を引き起こし、あっという間に何万人もの命を奪い、原子力発電所の放射能が外部に漏れた。この時、大阪湾は風穏やかで暖かであり、その気配すら感じなかった。震災を知った時、蓮応法師は「間に合わなかった。尊勝塔はまだ建立されていない…亡くなった御霊の往生を助け、次の災難を防止しなければ、地球は永遠に天災がある、急がなければ…」と心中で耐えず自責の念に駆られた。
 
遠い昔、毘盧遮那佛すなわち大日如来の頂髻が変化し「尊勝佛母」が出現した。衆生の積悪があまりに深く、罪業がからまり昇天することができず、仏土はさらに高く登ることができなかった。この為に尊勝佛母は秘密音を出し、わずかでも聞こえた者は、千劫に積み重なったカルマがことごとく除滅され、来世は名門豪族に投じられるか天に生まれることができた。天界から天界に至るまで、長享天福は宿命を知ることができた。(※1)
 
この秘密音の力は不可思議である。 釈迦牟尼佛の時代、天界に一人の天主が在った。天主は天寿が尽きるのを恐れおののき、帝釈天(たいしゃくてん) に救いを求めた。天帝は禅定観察を行うと、天主が禽獣の豚・犬・猿・大蛇・蛇・鳥・鷲に堕生し、七世に渡り穢食し、再び地獄に堕ちた後運よく盲人貧賤(ひんせん)の人間となることを知った。天帝は大変心を痛め、佛に救いを求めた。佛はこの秘密音を伝え相救った。天主は六日六夜誦え勤め増寿無量となり七日目に佛に帰依した。 秘密音は又、陀羅尼・呪文・真言とも呼び、「佛頂尊勝陀羅尼」は「尊勝呪」と略称された。この経典から尊勝呪には寿命増長など無量の功徳があることがわかる。古来より地位や金のある者は皆健康長寿を愛した。故にこの呪は皇族富貴家に深く愛された。中国唐王朝の皇帝は「天下の僧に尼は毎日必ず尊勝呪を二十一遍唱えること」と勅令を出しおり、それが日本にも伝わり天皇も全く同じ聖旨を公布している。 貴重なことに尊勝呪は寿命増長だけではなく、更に一切の罪業を洗い、地獄畜生阿修羅等の悪道の苦しみを取り除くことができる。鳥禽獣でさえ、これを聴けば来世では二度と鳥禽獣に生まれることはない。故に又の名を「吉祥能浄一切悪道」真言ともいう。(※2)
 
釈迦牟尼佛は秘密音に対し礼を尽くし敬った。密教が秘密音を尊崇するのにはその理由がある。秘密音を二十一遍唱えることは難しくないように見える、がしかし尊勝呪は長くまるで大悲呪(大悲心陀羅尼)のようであり、意味を理解し唱えている人は少ないはずであり、聞きたいと思う人はさらに稀であった。この為、釈迦牟尼佛は抄写したり、或いは他者が書いたものを祭っても、同じように有効であると説かれた。 念ずることもできず、聞くところもなく、書くこともわからず、祭るお金もない者は見に行けばよい。尊勝呪を仰ぎ見、呪文の光影を身体、或いは埃を落とした身体に映すと相当のご利益がある。古人は呪文を高山に刻み、布幟(のぼり)に編み、高い建物になびかせ、塔内にしまったりした。これに惹かれ人々は、見たり、触れたり、礼拝に回って来たりし、人を集める役割もあった。簡単なようで簡単でない、仏法は真に慈悲があり、ただあなたがこの呪語を敬うことを切に願うだけである。(※3)
 
尊勝呪の法力はただ事ではなく、書写・流通・受持・読誦・聴聞・供養することで、みな一切の悪道苦を免れることができる。塔の中に尊勝呪を有すれば、この塔は即ち如来の舎利となる。己の仏堂にけ華鬘(花環)・塗香・抹香・繒蓋幢幡・衣服・瓔珞で荘厳し供奉することで、計り知れない福が集まる。ただほんの少しの時間聴くだけで一切の功徳を受けることができる。(※4)
 
尊勝呪には更に秘密法があり、佛は四天王にこれを授けた。それは手印をつくり呪文を一〇八遍唱え、曼陀羅に散花供養することである。これは八十八千億佛を供養したのと等しく、諸仏に喜ばれ歓迎される。これらの事からもこの呪文がいかに貴いかが分かる。(※5)
 
梵音には相応する漢字がなく、原音を保持していると思われ、ただいくつかの漢字を集めて音を作り出すしかなかった。この種の型は和尚が特別に訓練し、ようやく理解できるものであり、一般人にはできないことである。梵語は流伝して久しく唱え方は十人十色であり、あなたや私が唱える呪はかみ合わず、明らかに同じ梵子からきているが、鶏同鴨講であり、あまり自信をもって唱えない方がよい。 現在では容易いことであるが、古代には録音機はなく、完全を求め非難すべきではない。それに蓮生活佛は短呪である「嗡。普隆。梭哈。嗡。阿彌答。阿逸拉。答爹。梭哈。」を伝授(オン.ブロン.ソハ.オン.アミダ.アイラ.ダデ.ソハ)された。大変殊勝なことに、加持力により功徳が長呪に相等するのである。 住吉雷藏寺には尊勝佛母の秘密法がある。さらに尊勝呪も伝わっている。少福にも衆生は修法することなく呪を唱え、敬塔・拝塔・拭塔することもできる。塔前に傘蓋・鐘鈴・幢幡・塗香・音楽・花灯篭の衣髪を布施することもでき、それは非常に大きな功徳となる。(※6)
 
仏教の塔文化では、塔を造る人の功徳は梵天の如くであるとされている。塔内に例えわずかであったとしても佛の舎利・髪・歯・髭・爪を置くことは、佛の生身を体現することとなる。佛教・呪語・佛の開示した偈頌を置くことは佛の法身を表すこととなる。廟の地下に経典を埋めたり、仏像を塔石柱内に「装蔵」することも全て同じ意義がある。一つのお寺にただ一つ尊勝塔を造ることは、百千年に一度出会えるかどうかという貴重なことであり、この大福を積む機会を決して逃してはいけない、逃せば必ず後悔することとなる。(※7)
 
印度の阿育王は幾万個もの仏塔を造った。千六百年前には中国人が塔を造り、尊勝呪は唐代には更に隆盛を極め無数の尊勝塔が建てられた。たとえ年代が古くなり、塔が傾き砕き壊され微塵となり風に吹かれ散り落ち、山林河海を通り一切衆生に触れ、永遠に湿生(湿気から生まれる虫類)卵生(卵から生まれる鳥類)胎生(母体から生まれる人獣)化生(忽然と生れるもの)雑類の身を受けずとも、身捨し受生すれば常に佛に会うことができる。 人が作る塔の材料は特にこだわらず土石木金銀銅皆使用して良い。完成したものは霊界では七寶に変化し所造し、その上傘蓋鈴鐸網を飾りつけした事となる。大きさに至っては宋代には十八m、元代には五十二mのものがあった。ただ神仙の目に映る塔は仏力によって加持され、併せて天神の守備供養があった。塔が高く広く真っ直ぐに上層に迫る情景はさすがに天の天宮である。(※8) 塔の型式は古ければ古いほど質素であり、傘蓋は時代が後であればあるほど精巧であった。静香上師が一〇八壇の尊勝護摩焚行をした際、菩薩の霊示を得た。住吉山雷藏寺の塔型は三層あり、最上は五佛冠とし、真ん中を方柱、下を蓮華座とした。山風がそよぎ二つの冠を撫ぜるさまは飄逸であり、この型には甚だとらえがたい感覚がある。 塔内には《佛頂尊勝陀羅尼経》や舎利及び符呪が安置され、慈悲ある大衆とに共に福徳を積むために、塔心は特別に設計し皆に開放し、抄写した梵文「尊勝呪」を投入した。これをもって大いに福運を増す。
 
大地震・津波・製油所の火災と地・水・火の三大災難が一度に起こり、核の放射能漏れは人心をパニックに陥れ、厳しい結果となった。ただただ時が過ぎ風化するのを待つよりほかない。経典には尊勝呪の救済が説かれている。まさに「激しい苦難に面し生死の海中に堕ちた衆生」の為に解脱を得る。
 
地震や津波は日本の宿命であり、都市全てに尊勝塔の建立を望む。大自在王佛「大救難呪」、尊勝佛母「尊勝呪」を唱え、息災を祈ることを提唱する。そうすれば、国が鎮まり厄災が終わる。その功徳は計り知れないものである。

(※1)《佛頂尊勝陀羅尼経》 もし人がこの陀羅尼をわずかでも、読み唱えることができれば、この者が持つ地獄・畜生・閻魔王界・餓鬼一切の苦を残らず破壊消滅することができ、諸仏の刹土及び一切の菩薩が住まわれる諸天宮の門も随意に出入りできる。もし、常にとな誦えれば大きな涅槃を得、また寿命が延び快楽に打ち勝ち、この身を捨て種種の奥深い諸仏の刹土に生まれることができる。

(※2)《佛頂尊勝陀羅尼経》 もしわずかでもこの陀羅尼を聴くことが出来れば、千劫に積み重なった悪業重障のため地獄・餓鬼・畜生・閻魔王界・阿修羅身、及び諸々の猛獣一切の蠢動する魂、ないし蟻の身となり様々な生死の輪廻を繰り返さなければならない者も、その輪廻を受けることなく諸仏如来に転生することができる。

(※3)《佛頂尊勝陀羅尼経》 もしこの陀羅尼を書写できる者あらば、石柱、高山、楼上或いは窣堵波の中に安置し、それを見、側に寄り、その影を身に映し或いは風に吹かれ陀羅尼上に在る石柱等の塵が身に落ちた者は、彼の諸々の衆生全てにある罪業、悪道・地獄・畜生・閻魔王界・餓鬼界・阿修羅身の堕ちるべき悪道苦を受けることなく罪垢が不染汚となる。彼の名高いまかさった摩訶薩埵の供養者の如く、四方の通りに窣堵波を造り陀羅尼を安置し、合掌恭敬し行道をまわり帰依礼拝できる真の仏子は、法を持ちて棟梁となる。または如来の全身舎利の窣堵波塔となる。

(※4)《佛頂尊勝陀羅尼経》 この陀羅尼のあるところに、もし書写を通し受持・読・誦・ちょうもん聴聞供養を行える者は、一切の悪道全て清浄し、一切の地獄苦悩皆消滅させることができる。

(※5)《佛頂尊勝陀羅尼経》 四天王に法を請われ、佛は呪を一〇八遍唱え、曼陀羅に散花供養する手印を教示した。これは八十八千億佛を供養したのと等しく諸仏は歓喜享受する。このことから、この呪文がいかに貴いかがわかる。短命者は白月の十五日にこの呪を千遍唱えると寿命をのばすことができる。癌のような大悪病者がこの呪を聴けば悪道に堕ちるべきを断ち除くことができ、亡くなった後も胞胎の身とならず蓮華より化生せん。先に亡くなった者が、もし地獄・餓鬼・閻魔界或いは水中に生きる禽獣に在れば亡骸の骨を取りだし、呪を二十一遍唱え一握りの土を骨の上にまき加持すれば、ただちに天に生まれることが出来る。

(※6)《佛頂尊勝陀羅尼経6》 敬塔・拝塔・拭塔・塔前に傘蓋・鐘鈴・幢幡・花灯篭・塗香・音楽は非常に優れた功徳を手に入れることが出来る。

(※7)《造塔功徳経》 世尊は観世音菩薩にその人がもし梵天の如く功徳があれば、命尽きた後梵世に生まれ、彼の長命が尽きると、五部淨居天に生まれ彼は諸天に同じとなる。「諸法因縁は生まれ、私が説くのは因縁であり、因縁は尽きる故に滅びる。これは私が作す所の説である。」偈は名高い佛の法身であり、汝書写を彼の塔内に安置し、もし衆生が因縁の義を解くようなことあれば、人即ち佛に会うためだと知る。 《菩提場荘厳陀羅尼経》 仏像或いは塔内にこの陀羅尼を安置し、恭敬供養礼拝する。これは人即ち仏像形を供養した所となり、佛の福徳を集め得ることとなる。 《一字頂輪王経》 一つ一つの塔に真言加持し、一塔千八返誦えなければ真言は成就せず、罪が心を覆うのであれば一肘量の一千塔を造るべし、たとえ五無間(地獄に堕ちる5つの悪行)の罪を作るとも、必定して菩提を成就することを得、口にすることにより滅罪し、作るのは必然である。 《一切如来心秘密全身舎利ほう宝きょう篋印陀羅尼経》 この塔は即ち百千億の如来身であり、塔及び形像すべてが如来の神通力に守られており、その処は風雷・雹・霹靂に害されず、蛇・獣・蜂・蠍に傷つけられず、寒熱・腫物・毒・瘡・疥癬・癩に染まらず、豚牛馬の疫病が子供には至らず、敵との戦いに魘されたり妖怪の呪いに侵されることはない。

(※8)《一切如来心秘密全身舎利宝篋印陀羅尼経》 もし人がこの塔を造り、書をこの中、或い土石木金銀赤銅の中に法要安置すると、塔は七寶となり、円を描き傘蓋鈴鐸網で飾られた階段が露わになる。純粋な七寶はその塔の四方に如来形像が重なるがごとく安置され、一切の如来神力を所持する。その七寶塔は高く阿迦尼咤天宮(三界における最高の天のこと)に至り、塔の全てが舎利蔵であり、一切の諸天を守り供養する。

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